オランダサッカーと世界同時不況
昨年来の世界同時不況により、世界中がもがき苦しんでいる2009年。
その影響はスポーツ界にも間違いなく押し寄せています。
今日、トヨタがF1からの撤退を発表し、これで先に撤退を表明していたホンダ、ブリジストン合わせ、日本のメーカーはモータースポーツの最高峰から完全にその名前を消すことになりました。
スポーツビジネスの一端に関わる者としてこれは非常に悲しい出来事ですが、この底の見えない不況と金融不安の今、本業ではない「スポーツビジネスからの撤退」という企業の決断を誰も批判することは出来ないのかも知れません。
そして、それは何も日本に限ったことではありません。EUの中で「金融の優等生」として評価の高かったオランダでも、それは起きています。
オランダは1部(エールディビジ)と2部(ジュピラーリーグ)を合わせて、38のプロクラブがありますが、その中で財政的に健全だとされるクラブは10程度とも言われています。まさに3分の2以上のクラブが財政危機に脅かされているのです。
その筆頭とも言えるのが、フェイエノールト。昨年、クラブ100周年を華々しく祝った名門クラブですが、実はその内情は火の車。今もこの苦境から救ってくれる外部スポンサーを探しているとの噂があります。
また昨シーズン、実に28シーズンぶり2度目の優勝を果たしたAZもオーナーであるスヘーリンガ氏のDSB銀行が破綻したことにより、経済的苦境に追いやられています(このAZに関しては、また日を改めて書きたいと思います)。
そして、今日の本題であるアヤックスもその1つです。
オランダトップ3の中でも最も世界的に有名なアヤックスは、98年に株式上場を果たしオランダプロサッカークラブの中で唯一の上場企業となりました。この上場で5500万ユーロ(約70億円)を手にし、過去10年では生え抜き選手たちの移籍金で1億ユーロ(約140億円)以上稼いだと言われるアヤックス。その収入だけ見れば、優良企業のように思えます。
しかし、その10年間で獲得したリーグタイトルはわずか2つ、以前のようにヨーロッパの舞台で輝くことは全くありませんでした。その上、生え抜き選手たちを売る傍ら新戦力獲得に費やしたお金は天文学的数字に及び、何と前述の収入からその支出を差し引くと、1億4400万ユーロ(約200億円)もの赤字になる試算が出されたと言うのです。
そして現在、この不況の中、アヤックスに全くお金は残っていません。先のフェイエノールトに続き、またしてもオランダトップ3の一角が危うい状態に置かれています。
ただ1つ間違っていけないことは、このアヤックスの経営危機は何も昨年来の世界同時不況が直接的な原因ではないと言うことです。先ほど見たように、アヤックスではその無計画な選手獲得により現在契約下にいる選手は何と71名にも及びます。これはあまりにも多すぎる選手数だと思います。
何となく昔の名前でビジネスを動かす。この不況下で、そのツケが一気に飛び出したというのが、この経営危機の本質ではないでしょうか。そしてここにメスを入れない限り、アヤックスの復活はあり得ないでしょう。
現在、この未曾有の経済危機により先行きを不安視する企業は数多くあります。当社もその1つだと思いますが、実は自分たちで見直さなければいけない部分も多々あると思います。
この危機を生まれ変わるチャンスに変えること。それが僕たちに求められていることだと、アヤックスのケースを読んでいて改めて強く思いました。
