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日本人とアマゾン

週末ということで、今回は書評です。





垣根涼介氏は、2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞してデビューした気鋭のミステリー(とだけ括るのも違和感がありますが…)作家です。

そして、2004年にはこの『ワイルドソウル』で大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を独占し、史上初の三賞受賞を果たしました。

そんな不朽の名作である『ワイルドソウル』は、日本人のアマゾン移民がストーリーのモティーフとなっています。

50年代後半から60年代にかけて行われた「戦後アマゾン移民」。「カリブの楽園」と謳われたドミニカへの戦後移民の悲惨なケースは有名ですが、こちらのアマゾン移民の場合でも壮絶な経験をされた方は多数いらっしゃるようです。

戦前から多くの日本人が移住し、日系の成功者もたくさん輩出してきたブラジル。しかし成功の数と同じように、いや、それ以上に失敗し異国の地で夢敗れ去った方もいらっしゃいます。

僕が生まれるたった10年、20年前。この国から大いなる夢を抱いて、中南米に渡った先人たち。そして、その夢が幻想でしか過ぎなかったことを知った時の絶望感。しかもそれが日本国政府によってもたらされたものであるということの衝撃。

もちろん『ワイルドソウル』はフィクションですから全てが事実でありませんが、ほんの数十年前にこの国が自国民に犯した罪を知るには格好の本だと思います。

「知らないことが罪」

昔、ライデン大学で仲良くなったルクセンブルグ人の女の子が、良くこんなことを言っていました。僕たちは自由と民主主義の基本である「知る権利」をみんな等しく有しています。しかし、僕たちは知ってなくてはなりません。「権利」というものには「義務」が付随することを。つまり、「知る権利」があるということは「知る義務」も負っているのです。

数十年前は、決して昔ではありません。