誇りと傲慢
ここ数日、気になったニュースを3つほど。
APECが開かれていたシンガポールで首脳会談の最中、ブルネイのボルキア国王が「所得税は無税」と発言され、つい答えちゃったらしいです。
外務省のサイトに会談の経過が掲載されています。
恐らく、5の「両首脳は、日・ブルネイ租税協定により、両国関係の更なる深化が可能となることにつき一致し、ボルキア国王よりは、両国間で双方向の投資が促進されることへの期待が表明されました」という下りでの出来事かと思われます。
海外とのやり取りがあるとこの租税協定と言うのにいつも頭が悩まされるものですが、国王陛下としてはいかに投資に有利なのかを説明されたおつもりだったのでしょう。しかし鳩山首相は「所得税が無税になれば、それは大変素晴らしい」という「お金持ちの論理」で受けてしまい、ついジョークを飛ばしてしまったのではないでしょうか。
年末調整でいくばくかのお金を戻って来ることに幸せを感じる一般庶民とは、やはり次元が違うのかも知れません。恐らく無税という政策に関して、ここまで当意即妙の受け答えをした政治家は過去日本にいないと思います。
想像でしかありませんが、このあたりのやり取りは英語だったのではないでしょうか。このやり取りに通訳が介していれば、ここまで面白くなかったのではないかと思います。
さすがは、スタンフォード出身と勝手に感心してしまいました。
さて、次のニュースは…。
APECやオバマ大統領の中国訪問で、改めて(日本を除く)アジアの経済発展がクローズアップされた中、遠く太平洋の向こうの南米大陸では大きな買収劇が起きていました。スペインの通信大手テレフォニカに競り勝ち、フランスの総合メディア企業であるヴィヴェンディがブラジルの通信会社GVTを買収しました。
ヴィヴェンディは2002年に業績が極端に悪化したのですが、最近また盛り返してきています。テレフォニカと言えば、ラテンヨーロッパでも最大手の通信会社。その巨人を破り成長著しいブラジルでの足がかりを築いたヴィヴェンディに、通信市場では飽和状態にあるヨーロッパから飛び出す冒険精神が感じられます。数年前であれば、海外マーケットに積極的な投資を行っていたNTTグループの名前が出ても良かったかも知れません。アジアといい、ブラジルといい、どうも日本を谷底として世界のお金の流れは避けている感があります。案外、鳩山首相の上記の発言は本音なのかも知れません。
そして、最後はこれです。
How low will he go? Obama gives Japan’s Emperor Akihito a wow bow
これは14日付のロサンゼルスタイムスの記事ですが、反響は意外と大きく日本で報道されてしまいました。
しかし全く知りませんでした。アメリカ合衆国には、「ロイヤルファミリーにお辞儀はしない」というプロトコールがあるのですね。
THE WORLD; The President’s Inclination: No, It Wasn’t a Bow-Bow
「もし、我々がロイヤルファミリーと目と目を合わせて対峙しないのならば、1776年(アメリカ独立の年)に起きたことは一体何だったんだ?」
独立自尊の心は美しいのですが、アメリカ国民が対決したのは英王室であって、我が皇室やはたまた先に批判されたサウジ王室とは全く関係のないことです。人はそれを「誇り」とは呼ばず、「傲慢」と呼ぶのです。
メディアが分析するようにオバマ大統領の行動には様々な意図があったのかも知れません。しかし、全く頭を下げなかった2年前のチェイニー副大統領よりも、天皇、皇后両陛下に深々とお辞儀をされたオバマ大統領に敬意を表したいと思います。
なぜなら、お辞儀はその人の人間性の顕れであるからです。少なくとも我々には誰かさんのように、ふんぞって相手に敬意を表す作法は存在しません。
とりとめもない話でしたが、ここ数日で気になったニュースの数々でした。
