EUと地域ナショナリズム
今日の日経朝刊に気になる記事がありました。
EUは16日の外相理事会で、アルバニアを加盟候補国として承認することで合意したそうです。
これで候補国はクロアチア、トルコ、マケドニアと合わせて4ヵ国にまで増加しました。
現在、EUは27ヵ国が加盟。どんどん、中欧・東欧に拡大していっています。
世界同時不況で苦しんでいるのは、何も日本だけではありません。EUも確実に蝕まれています。
大きな打撃を受けているのは土地バブルがはじけたスペインでしょうが、金融立国の多い西欧ではこれからの「2番底」に向けての不安感も広がっているようです。
もちろんEU拡大はこの世界同時不況以前からのことですが、たった20年前までは世界で唯一の「スターリン主義国家」として西側からはおろか東側からも孤立し「鎖国状態」だったと言っていいアルバニアが、EU加盟候補国に早くもその名を連ねるのはかなりの驚きです。
「欧州最貧国」として悪名の高かったアルバニアですが、経済的だけではなく民族問題も近隣諸国とも抱えています。セルビアとのコソボ問題は国際的にも有名ですが、同じ加盟候補国であるマケドニアとも同じ問題があります。
以前このブログで書いたように(ピクシーとJリーグをご参照ください)、僕は97年にバルカン諸国を旅行しました。その際、マケドニアの首都スコピエに3週間ほど滞在していたのですが、ここは人口比率で言うとマケドニア人とアルバニア人が50/50ぐらいになっていました。この国名からはギリシャ(アレキサンダー大王ですね)、エスニック的にはブルガリア(ブルガリアの一部の人はマケドニア語を「西ブルガリア語」と呼ぶそうです)、そして隣人として驚異的なスピードで人口増加していくアルバニアと悩ましい問題を抱えるマケドニア。その中でもアルバニアとの緊張関係は市民レベルでピリピリと感じるほどでした。
当時、アルバニアは90年に市場経済に移行した直後から流行した「ネズミ講」が破綻し、大暴動が起きるほどの社会混乱がありました。それに乗じて、多くのアルバニア人がコソボ、そしてマケドニアへ逃れたと言われています。
あれから、10年以上が経ちました。しかし、この混乱が完全に収まったとは僕には信じられません。
当時のガールフレンドのお父さんが、冷え冷えする声で次のように言ったのを今でも覚えています。
「私たちと彼らは全く別な人間なんだ」
普段は自由とフランス文化を愛するボヘミアンなパパでしたが、この時ばかりは徹頭徹尾マケドニア人でした。
「全ての人間は自由であり平等なんだ」
言葉ばかりでそう習ってきた僕たち日本人には到底わかり得ない感情が、そこにはあるような気がします。
拡大を続け、「標準化」をヨーロッパ全土に広げるEU。しかし、彼らがこういった感情をコントロールすることはできるのでしょうか。
いや、はなからそんな気はないかも知れませんね。そういった感情を超越した仮想管理国家がEUなのだと思います。
